2020年6月にみた映画

6月に見た映画の感想をちょろっと書いていきます。

 

1 サイコ(1960)

 アルフレッド・ヒッチコック監督。うる星やつらwikiをなんとなく眺めていたときに、この映画のパロディ回があることを知った。それを確かめてみようと思いこの映画を観たのだけど、え、ホントにパロディ回ある?うる星やつらは第106回まで見ているのだけど、全然わからない。もしかして第106回より後にあるのかな。

 それはさておき、あのシャワーシーンは「セブン」のラストシーンを思い出させる。観客に映ってないものを見たように錯覚させる技術は、CGと特殊メイクのゴリ押しが出来なかった時代にしか生まれ得なかったものだろう。それを考えると、それを1995年にやった「セブン」のあのシーンは乙なものだ。

 

2 人狼 JIN-ROH(2000)

 沖浦啓之監督。「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」でキャラクターデザインや黄瀬和哉と共に作画監督やってた人。これが初監督作品らしい。脚本は押井守。この映画のどんよりとした雰囲気とか装備とかかなり好き。僕も御多分に漏れず、押井守の演出的なところじゃなくて、軍事とか思想とかを信仰しているオタクなんだろうな(照)絵本が教典となっていて、関係性のミスリードを狙っていたところが(こちらはミスではなかったわけだが)、「リズと青い鳥」っぽいなと思ったりもした。イノセンスの最後の助けられた少女とほぼ全く同じような叫ぶセリフがあって、とてもシリアスなシーンだったのにちょっと笑ってしまった。イノセンスのあの少女も武藤寿美さんだよね。この映画が縁となって沖浦啓之と結婚したそう。

 

3 砂漠の鬼将軍(1951)

 ヘンリー・ハサウェイ監督。砂漠の狐ロンメルを演じるのはジェームズ・メイソン(「ロリータ」のハンバート・ハンバート教授とか)。WW2の映画は高校の頃色々見たんだけど、結構適当に見てたから記憶がごっちゃになっている気がする。そこら辺もう一回見返したくなった。

 

4 ウォーターワールド(1995)

 ケヴィン・レイノルズ監督。USJでお馴染みのアレ。温暖化か何かで海面が上昇して、地球全土が海に覆われた世界が舞台の終末映画。世界観の第一印象は海版「怒りのデスロード」でした(最初に見た終末ものを親だと思いがち。「怒りのデスロード」がこれをオマージュしたのか、終末映画あるあるなのかはさておき、スモーカーズが追いかけてくるとことか、民衆に水やるところとかそっくりでしょ)。土が貴重って発想は出てこなかったから驚いた。確かに考えてみたら土ないと農業出来ないよね。海底に沈んでた土って農業に使えるの?とか疑問もあったりしたけど、船のギミックとか悪党の魔改造武器とか見るのは面白かったです。後から知ったけど悪役の眼帯おじさんがデニス・ホッパー

 

5 劇場版 のんのんびより ばけーしょん(2018)

 川面真也監督。脚本は吉田玲子。僕が吉田玲子好きすぎるだけかもしれないんだけど、最近のアニメ映画で面白い作品だいたいこの人じゃない?

 福引で沖縄旅行を当てて、沖縄に行って帰る。出会いはあるが、特に事件が起こるわけでもない、当然サスペンスなんて存在しない。それだけの映画だけど、それだけでいいのがのんのんびより。それだけなのがいいんだよなあ。

 

6 A.I. Artificial Intelligence(2001)

 スティーヴン・スピルバーグ監督。人間と同じ愛情を持つ子供型アンドロイドのデイビッドを演じるのはハーレイ・ジョエル・オスメント。この子役、「フォレスト・ガンプ」のガンプの息子役でデビューし、「シックス・センス」のあの少年も演じてる。それはそうと、憎たらしい本物の子供のマーティンがものすごくイケメンだったなあ(笑)

 序盤はよくあるSFものって話だったんだけど、途中からあっちこっち色んな方向に行きだす。ゴミ捨て場に壊れたロボット達がわらわらと現れて、自分を自分で修理しだしたときはちょっと笑った。おもちゃのテディは滅茶苦茶賢いし、デイビッド以外のロボットが人間っぽかったのはなんだったんだろう。特に、ジュード・ロウ演じるセクサロイドは本当にいい味出していた。ジュード・ロウって「ガタカ」でも遺伝子操作された完璧人間役だったし、整い顔なのかな。

 この映画では、デイビッドが自殺しても死ななかったように、ロボットは死ぬことが無い永遠の物として書かれているが、実際のところ機械に永遠性はあるのだろうか。素材の耐久度的にもそうだし、道具である以上、技術の進歩に伴い時代遅れになったものは捨てられていくんじゃないだろうか。ロボットの永遠性は、ロボットに結構な人権がある世界でしか成り立たなさそう。まあ、人間そっくりなアンドロイドを作れる世界ならそこら辺の問題も解決しちゃいそうだし、ロボットに永遠性があってもいいのかな。

 

7 生きてこそ(1993)

 フランク・マーシャル監督。この映画、小学生ぐらいの頃に一回見たと思うんですけど、赤い靴とガラスの破片で人肉食うとこだけしか覚えていませんでした。多分、小学生の僕はそこが一番印象に残ってたんでしょうね。

 21歳になった今、この映画を観て、アンデス山脈の神々しいまでの美しさに感動した。不謹慎だと言われるかもしれないけど、この映画を観て、山に登ってみたくなった人も多いんじゃないかと思う。アヴェマリアを流し、山頂に刺さった十字架と連なる山々を映したエンディングを、もう忘れることが出来ないだろう。

 この映画は、語りのシーンを飛ばせば、最初飛行機の中から始まり、その後ずっと白銀の世界が舞台となっている。イーサン・ホーク(「ガタカ」のヴィンセントとか)演じるナンド達が麓を目指し、初めて映る緑がとても印象的だった。「ゼロ・グラビティ」のラストとか、このシーンの影響を受けていたりして。

 

8 キャスト・アウェイ(2000)

 「フォレスト・ガンプ」、「BTTF」のロバート・ゼメキス監督。今回のトム・ハンクスフェデックスの凄腕システムエンジニア現代社会で常に時間と戦う彼が、ある日突然無人島に投げ出される。あらすじだけ見て、またトム・ハンクスが持ち前の知力と発想力を発揮して、またなんかやっちゃいました?って感じに無双していくのを予想してたけど、そんなことはなかった。無人島だから普通に苦労してる。火を起こすところとかそれはもう苦労してんなって感じが伝わって結構笑った(ウィルソンとの出会いのシーンっていうのもあるけど)。他の無人島出てくる作品とかだと、あっさり火が着いちゃったりしている印象あるんだけど、この作品はそこら辺の苦労がひしひしと伝わってくる。怪我とかも本当に痛そう。その点で言うと、不時着のシーンも同じような意味で引き込まれた。事故が起きてから墜落までがとにかく長い。トイレの扉が開いて、突然吹き飛ばされそうになってから、マスクを付けたり外したり、立ったり座ったり、荷物が行ったり来たり。そうこうしてよく分からないまま墜落した後も、暗い海の中長時間波に揉まれ続ける。無人島に着くのも、目が覚めたら知らない浜辺にいましたって感じじゃない。漂流といえば、「事故発生→なんやかんやで気を失う→目が覚めたら嵐は去ってて浜辺に打ち上げられてる」っていうのが定番になっていると勝手に思っているんだけど、この映画では主人公はずっと薄く意識を保ち続けていた。だから漂流にリアルっぽさが出ていたんだと思う。

 話の流れとしては、過去に観た作品の中で似てるのを探すとしたら、事故を経て人生観が変わるという点で「アイアンマン」が真っ先に思いついた。

 プレスリーのAll Shock Upで始まり、Return To Senderで締める。Return To Senderは本当にそのままでしたね(笑)